オレンジいろの汗/吉岡ペペロ
 
音が絶えなかった
それは鈴の音だった
サヤマがユキオと歩いていた
歩いているのをどこで見ていたのか
どこを見ていた
鈴の音はカワバタだった
しずまれ!しずまれ!
ユキオがヨシミの手をひいて川から現れた
川はユキオだった
ユキオが川で鈴の音は川の音
お母さんがオレンジ色の作業服でそれらを交通整理していた
日に焼けて充実してそうなお母さん
あたしには違和感があった
こんなつらそうな仕事かわって欲しい
お母さんが自慢げにビニール袋にはいった飴玉をヨシミに見せてきた
ここの親分のタマさんがあそこの金網にくくりつけておいてくれたんだ
ユキオがうるさかった
ユキオってサヤマの
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