誰かの葬送/ホロウ・シカエルボク
知られずに死んでいった
ひとたちのことや
恐れずに失った
ひとたちのこと
果たせずに手放した
ひとたちのことや
踏み出せず諦めた
ひとたちのこと
ひとことに
墓標と
呼んでしまえば
それまでのことだが
新聞の一面に
幾つものブルース
魚たちが道を誤り
渇きながら変わってゆく
うろこははがれて
舗装された路面に落ち
言うべきではなかった言葉をかたちづくる
たとえば
ぼくはあなたにはなれない
とか
そういったような意味のない言葉のこと
訃報がたくさん並んでいて
そのうちの半数が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)