寄せる上げる潰す破裂/手乗川文鳥
綱を引くのか、私の。どうか産まれませんようにと願った十月十日前の私が無邪気に山びこ遊びをして、産まれたくないから、私は脚ではなく口を開いた(どうか無事に産まれませんように)(誰も何も私から)(剥がれてしまいませんように)
挨拶を、しよう。
「ぎゅうー。」
人として、
私は牛の乳を飲む。それを「もうにゅう」と呼ぶ。低温殺菌を白衣で、白い歯の笑顔、とても高い背とカルシウム。貝殻を拾い集めて、再構築する私の出産、母なる海というあやまち。私はただの母から産まれた為なんの関係もないのが海。そして巻き貝を耳に当てる。きこえる。「ぎゅう。」
またしても牛。
一リットル一九八円の清潔な紙パックに詰めら
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