寄せる上げる潰す破裂/手乗川文鳥
 
た。私もそうしてふるえていました。
     またもや牛。
新宿はもはや牛でした。出産したので私が、山手線には緑の牛が連なり中央線にはオレンジの牛が連なっており誰一人として運ばれて行きませんでした。ただ牛が列をなして鳴いているだけ。「ぎゅう。」
牛なので。


私の十月十日を牛が歩いていきました
私は主人の手綱を引きました。主人の首に、カウベル。「ぎゅう。」
牛でした。
男牛と仔牛と私の食卓。だんらん。にく。焼かれるのは牛か私か。主人(牛)が卓を叩いて叫ぶ「ぎゅう。」仔牛が泣く「ぎゅう。」私は黙る。人なので。私は食べる。母なので。もはや、
交差点には赤と青の牛がいる。誰が手綱を
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