真夜中、もやのように消えた昨日までとハエトリグモの文学性に関する考察/ホロウ・シカエルボク
って」
余計な御世話だ
と
俺はもう一度言う
「俺たちは巣を作り
自分に出来ることをすべてして
今日生きることが出来るだけのものを手に入れる
俺たちはそうして生きてるんだ
一日もブレることなくだ」
そうか
と
俺は答える
それじゃあ
ドストエフスキーの一番好きな作品について一〇〇文字程度で答えてくれ
と
俺はリクエストする
ハエトリグモはため息をつく
「そんなことで」
「そんなことでうまく
問題をはぐらかしたつもりなのか?
俺はドストエフスキーなんか読んだことはない
だけど
例えば尻から糸を吐きながらこの部屋の
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