真夜中、もやのように消えた昨日までとハエトリグモの文学性に関する考察/ホロウ・シカエルボク
動けなくなる
動けなくなるものを見ながら
俺は心臓の鼓動を肉体の奥で
感じる
レクイエムよりもロックンロールを
そう望む方が自然だ
誰も見送る必要などない
観念の中だけで死んだものに
正式な葬送など別に必要ない
レクイエムよりもロックンロールだ
失われた器は何かで満たさなければ
どんな夏だって
真夜中は冷たい
どんな夏だって
雨さえ降らなければ
銃口を覗き込む幻想
例えば
いままさに
そんなことをしている男がいたとして
そいつは
引鉄の具合を気にするだろうか
どんなことがあろうと
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