動物の定義/葉leaf
 
ンディアンにとっては、自然の事物はすべて生命と心と名前を持っていたらしい。それを観て、私の感受性はいくつもの角ばった木片へと分解され、しばらく設計者の視線に濡らされた後、再び組み合わされて脈動と予期を取り戻した。
 とりあえず庭の黒松の木に「タケシ」と名付けてみた。タケシの、力を集合させた枝の張り具合は、私に彼の跳躍する思想を伝え、空気と光度を交換している木肌の荒れは、私に彼の名前にまつわる記憶を開示し、聴覚を冴え立たせている松葉たちは、私に彼の細胞同士の挨拶の余韻を届けた。
 私はハナを「ハナ」と呼んでみた。呼べた。ハナは尻尾を振って、彼女の意識の空模様を私に届けた。

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