動物の定義/葉leaf
私の実家の犬には「ハナ」という名前があった。だが私はどうしても「ハナ」と呼べずに「犬」と呼んでいた。自然との流動的な親密さに耐えられなかったのだ。
「ハナ」という言葉は他人の所有する暗がりのようなものであり、家族が犬を「ハナ」と呼んでも、私はすぐさまその呼称の無垢なかけらを自分の寒い所有地から締め出し、発話の衝動の手の触れぬ所へと無関心に吊し上げるのだった。ハナを見ても「ハナ」という言葉、その蔓先すら浮かばない。「犬」という言葉とそのだらしなく広がった意味の林が浮かぶ。対象と言葉がねじれ合っていて、言葉がこのまま無限に現れ間違うのではないかとすら思われた。
「ポカホンタス」を観た。インデ
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