木漏れ日カメラ/木屋 亞万
 
すぎる
袖から先がつながりあわなければ、縁とはいえないのかもしれない
君と袖がつながりあう影をフィルムに収める

街路樹は欅、新緑がすこし擦れてきて、とても強い緑になる
木漏れ日がキラキラと影を作って、アスファルトに光を映し出す
ぎらぎらの太陽ばかりのプラネタリウム

何度も何度もシャッターを押す
フィルムや写真は世界を焼き付ける
僕は心でも何度もシャッターを切る
心はいくつもの大切な思い出を大事に掴んで放さない
すぐには出てこないけれど引き出しには過去が大量に眠っている
そのどれもが容易く壊れてしまう
写真は紙ですぐに燃えてしまう、フィルムは光にさえ焦げて真っ黒になる
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