木漏れ日カメラ/木屋 亞万
 
なる
色も記憶も少しずつ褪せてゆく

風に揺れる木漏れ日
何度シャッターを切っても、世界は止まらない
休日の午前がいつのまにか午後に変わって
影に踊る光の粒が取り囲む、二人の影

木漏れ日の映写機に目を向ければ
枝葉の隙間から眩しい太陽の光が注ぐ
太陽がどれだけ世界の影を切り取っても、世界が脆くなることはない
太陽は今しか切り取らないし、今をどこにも残さない
僕らは地球にぶら下がり、地球は太陽にぐいぐい引っ張られている

忘れたくないということが僕の生きる意味のひとつだ
大切な笑顔を残すために僕は今日もシャッターを切る


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