One and only life./瀬崎 虎彦
る。大学生協の売店でジュースとパンを買った。自分は本当に大人になったのだろうか。これが意味のある人生といえるだろうか。毎日営業ルートを回りながら無駄に二酸化炭素を排出するばかりなのに。コストカットを声高に叫ぶ前に僕一人首にしたほうが、会社の受ける恩恵も相当多いはずだ。学生の頃から変わることなく、道路の両脇で緑の葉を輝かせている植物の力強さは、僕の後ろめたい社会人生活を打ちのめして余りある。
CDチェンジャが無骨な音を立てる。ジョン・コルトレーンのMy one and only loveが流れてくる。こんな皮肉なことがあるだろうか。onlyはonelyから派生しているのではないのか。これでは反復
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