中身/豊原瑞穂
った。
気味が悪く思えて、僕は再び眠りに付いてしまった。
あの夜の、あの出来事は夢だと信じていた。
しかしあれから2日後、仕事場の上司のおデコに小さな木の板が釘で打ち付けられていた。僕はどうしても気になってそれを取ろうと思ったが、まさかそんな幻想を信じてもらえるワケもなく、諦めるしか他なかった。
それからというもの、僕はいろんなところでいろんな物を見るようになった。
満員電車で目の前に立ったおじさんは、背中に鉄の板とスイッチが付いていた。スイッチを押すと鉄の板はスッと開いたが、そこにはやはり何もなかった。久々に会った女友達は、二の腕に洋服のようにボタンと
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