散文詩-彼方に寄せて/黒木みーあ
れど朝焼けが、山間を抜け空が青みがかる頃に、辿り着ける場所をまだ、わたしは見つけることができないでいた。
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(( 夢遊病に重ねて、失語症となったあなたを連れて、まだ一度も行ったことのない浜辺へと歩いていった日、意識のない瞳には、語りかける言葉ばかりが潮風に弾んでいき、波音にさらわれていくものは、決して、言葉だけではありませんでした。まるで赤子のように、手を握れば返す、やさしい反射が、吹く風の冷たさの中で僅かに、ぬくもりを保っていました。わたしは、あなたに眠りつく場所について話をしました。わたしの見た世界の話をしました。あなたは何も言わない代わりに、ずっと目を見開いて、海の向こう
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