JOY/ホロウ・シカエルボク
魔だと考えてしまう節があるのだ…少し迷いながら、だけどそれはたいした間ではなく、俺はリモコンを手に取りもはやアンティークに近いテレビの電源をオフにする、至極控え目な舌打ちのような音が一度だけ聞こえて―部屋の中は暗くなる、手ごろな夢や楽しげな幻想はもうひとかけらもこの空間の中に雪崩込んでくることはない…ただコルトレーンが青い列車の中で狂気をロデオしている
お前の胸の中にどのような思いが去来しているのか俺には知る由もない、そういったことを上手くやるコツをずいぶん昔に失くしてしまった、細長い煙草を指先の数ミリの動きだけで吸い続けているお前はまるで、この世でもっとも地味な苦行を選択した野蛮な神を信仰する
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