結婚/千波 一也
 
こともある
(そして誰かに向けた刃は必ず自分に舞い戻る
(鋭利な物にすがる手を
(刃はよくよく知っている
(いつかは果てるこころも命も
(刃はよくよく見透かしている

ことほぎたいのは嘘ではない
ことほげないのも嘘ではない
ならば
いかにして守れるだろうか
ほんとのことを
ほんとの嘘を
嘘の
ほんとを

(この国の利点は
(風をいくつも覚えられること
(そしてわたしの学びなど
(あなたのなかで幾つでも死んでしまうということ
(幾つでも生まれ変わるということ

叙事詩について
あこがれたのはいつだったろう
涙のなかに月をみた時
空飛ぶものたちの雪にふ
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