結婚/千波 一也
こともある
(そして誰かに向けた刃は必ず自分に舞い戻る
(鋭利な物にすがる手を
(刃はよくよく知っている
(いつかは果てるこころも命も
(刃はよくよく見透かしている
ことほぎたいのは嘘ではない
ことほげないのも嘘ではない
ならば
いかにして守れるだろうか
ほんとのことを
ほんとの嘘を
嘘の
ほんとを
(この国の利点は
(風をいくつも覚えられること
(そしてわたしの学びなど
(あなたのなかで幾つでも死んでしまうということ
(幾つでも生まれ変わるということ
叙事詩について
あこがれたのはいつだったろう
涙のなかに月をみた時
空飛ぶものたちの雪にふ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)