明方、その暗がりに/ホロウ・シカエルボク
山こびりついていて…と、思ったら本物の爪だった
以前そのシャツを着たときに
何があったのか少しも思い出せなかった
長い時間をかけて爪をすべて払った
手のひらに短い切り傷が出来た
痛みのリズム
幾つかの傷が別々の鼓動で痛む
そのすべてのビートの隙間を縫いながら
オレは新しい詩をノートに殴り書きする
窓で蒸発した蠅
部屋中にあふれるスチーム、そこまで書いて
オレは窓を開けることを思いつく、窓はもうすっかり落ち着いている
外は気持ちよく晴れている、目の前の電柱に
首吊り死体がぶら下がっていることを除けばなにも問題などない
(どうして他人の部屋の正面
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