明方、その暗がりに/ホロウ・シカエルボク
正面で首など吊ったり出来るのだろう?)
死体はまだ温もりすら感じられそうなほど新しくて
ビクンビクンと四肢がやたらに跳ねていた
アイドル歌手みたいな可愛らしさが限界を感じさせる
確かにある種の哀しみを先天的に抱えたタイプの女だった
垂れ流した糞便が淡い黄色のミニスカートをおぞましい色に変えて
あたりにはそれの臭いと
おそらくは死臭というものだろう、もうどうしようもない、と
空気に書いてあるみたいな臭いが致命的に染み着いていた
オレはため息をついて窓を閉めた
死体は真っ直ぐにこちらを見つめていたのだ
警察が来たら知らなかったと証言しよう
さいわい周りの奴らはまだ起きてなかったみたいだし
(もしかしたらオレと同じようにだんまり決め込むつもりかもしれないけれど)
オレはスーツを着ると仕事に出掛けた
玄関に鍵を掛けたとき
サイレンがこちらに向かってくるのが聞こえた
戻る 編 削 Point(3)