明方、その暗がりに/ホロウ・シカエルボク
 

おかげで部屋の中はちょっとしたスチームの嵐
オレは忌々しい思いをしたが
渇いて痛んでいた
喉はだいぶん具合が良くなった
これのせいかもしれないとオレは思った
返信のように絆創膏の下が疼いた
蟻にまみれたバスケットの中から
昨日買ってきていたパンを取り出した
トースターに放り込んでコーヒーを入れた
一枚目は失敗した
二枚目はちゃんと焼けた
コーヒーはいつでもこの上なく美味かった
それが自分の人生に贈られたささやかな一日の保証
いつものようにオレは少し満足した
差し引きゼロとはいかないがまずまずの気分だ
白いシャツには赤い付け爪が沢山こ
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