無自覚/榊 慧
 
はあまり言葉がないから人に話すのは得意じゃない、だからやなんだよと言えたらどんなにか、違う、俺は干渉とかそういうの、されすぎてきただけなんだろうな、うん、どうでもいいや。…寝たいんだけど。

全ての会話を放棄して文章でコミュニケーションを終えられればな。俺は蜂蜜を舐めた。河合が体育座りで俯いている。無意味だねと言ったらショックを受けるだろうか。それとも気づきすらしないだろうか。これ以上構ってやるほど俺は甘い人間じゃないんだよ。うっすら笑っているかもしれない、河合はお酢が嫌いなんだっけかと記憶をたどり、牛乳をあたためる。俺はただ面倒なだけでやってるんだよなあと呟いてみた。

さとしは林檎酢を
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