ヒゲ/がん
 
れた犬みたいに、キリン程に首を長くして、もしかしたら、鼻だって長くなっているかもしれない。とにかく、君を待っている。
昼は退屈な時間だ。趣味でも持てばいいんだろうけど、何をやっても長続きしない。趣味は君と遊ぶことくらいだ。だから、君のいない昼の時間は退屈なんだ。
夕方になるといそいそと玄関の方に耳を立てている。君が帰ってくるときは、車の音がするから。

時々、君は男の人を家に連れてくる。見るからにオスといった感じの風貌で、僕は敵わないなとつらい気持ちになる。
君はその人と僕に「ご飯の支度をするから一緒に遊んでて」と声をかけてキッチンの方に消えてしまう。残された僕たちは、仕方なしに遊ぶ。
[次のページ]
戻る   Point(1)