血の色、レッド/ホロウ・シカエルボク
あ
死ぬんだという予感が
蜘蛛の巣じみた強さと細やかさで
すみやかに
張り巡らされるばかり
ああ
命には
羅針盤がないから
同じ夜が
何度も
繰り返される
コバルトブルーの空が
あんなに安らかなんだって
そんなひとときは
トリックを隠したものみたいに
彼方で
気がつけば
同じ床を
幾時間も見つめていた、夜、夜、夜夜
砲身を掲げ
戦車が
鈍い油の臭いを放つ、それは
どうしようもなく
流れるだけ流れた
最深部の
血液を思わせる
血がすべて流れたら
心はどこへ行くのだろう
夢のように白濁して
虚空へ
消えてしまうのか
床の一点
床の一点に
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