血の色、レッド/ホロウ・シカエルボク
に
なにやら思案する
蟻の姿がひとつ
気温や
湿度の中で
ヤツの触覚は
なにかしら複雑な構造のひとつを
単純なプロセスで理解している
だけど、アント、俺たちは殺し合わなくては
もう理由なんてないけど
殺り合うことに
もう理由なんてないけど、それでも
運命は何度も生き延びてきた獣みたいな視線で
くすんだ脳髄に新しい色を差す
レッド、その脳髄のどうしようもないレッド
堅い爪先の靴を履いて
頭を思い切り蹴りつけたい
戦車はいつまでも行軍している
後退でない限りは
いくらかの満足がそこにあるはずさ
血の色、レッド
蒸し暑い季節の隙間
夏の予感は
やはり薄暗い闇の中で鼻息を荒くしていた
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