血の色、レッド/ホロウ・シカエルボク
た
前頭葉の中で独裁者が
ひたすらに煽動を繰り返している
者共、敵だと、だけど
その標的は指示されない
座標は判らず終い
者共、狂気だ、狂気は軍隊なのだ
無数の歩兵を
従えた戦車だ、キャタピラが
脳髄の暗闇を舐め尽くす進軍だ
者共、進め、者共、進め
砲撃手は
常に準備を整えておけ
エンジンと足音、統制された…
概念の違う時計の様な
隊列が進軍する
子供の様に廃れて横たわったとある夜に
見えない敵を脳内のキチガイが駆逐しようと目論んでいる
それは戦争ではない
それは戦争ではないから
ある種の秩序の一切も存在などしてはおらず
ただ
死ぬという予感が
ああ
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