夜めぐる夜 ?/木立 悟
 






ちぎられる紙
ちぎる紙
はざま はざま
せめぎあう

扉の前の
やわらかな不都合
光の前の
しじま つまさき

背のびをして しずく
背のびをして 白詰草
ひとつひとつ
口に含む

夜に溶ける声
海の生きもの
橋の上をゆく
冬と冬

目から離れ
頬をわたる
離れ 離れ
くちびるに会う

分かれていても
指に打ち寄せる
花の熱 ただ
花の熱

扉を閉める音 開ける音
午後の路に水位を増す
空は在る
空は在る

粉が降り
池には虹の輪
沈む家
樹の上の夜

冬と冬が
呼びあう下をくぐり
風も路も
[次のページ]
戻る   Point(7)