『すげないは、いつの あの頃』/Leaf
ドアの向こう側の置き手紙に返事を書くことで
ポケットにしまい込み削いだ感情は
右利きだった僕の左腕にこっそりと注がれた
いつも明くる日になれば、紅く滲んだ昨日の出来事を
白ばんだ満月か、遅くとも朝靄に包み隠しやってしまい、連れ運び去ってくれと願う
故意に忘れようとするのには、みな暗黙で了解だ
日も明ければ、誰もが急ぎ足でベルトコンベアーに乗りたがり、立ち枯れてゆく
ひとは確信犯的な無言の雑踏に同化することをある種の喜びとしている
そんな中、石畳の階段にしゃがむのが好きで
真向かいの誰かん家の軒先から、飼い猫が近づいてきては
黙って隣に座っ
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