『すげないは、いつの あの頃』/Leaf
 
座ってくれた

と、背後から声だけがする

「そんな馬鹿なこと、したらいかんよ」

母は顔を顰め、包帯の入った薬局の小袋をそっと地面に置き、同化しに立ち去った

階段の先に細く小さく遠ざかる母の背はますます細く小さくみえた

赤の他人の、飼い猫はじっと傍に居て、目を閉じ、日溜まりを待っている

色の違いを確かめたっていいじゃないか、と

まとまらない心が一日分ひとまとめにして呟いた

「行ってらっしゃい」「おかえりなさい」「おやすみなさい」

今日のこと、手紙にするから

昨日のことは知らない
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