ないよりマシ/ホロウ・シカエルボク
裏の
歩けない野良犬のような死様
どうしてお前は脚を失くしてしまったのか
いったいどんな宿命がその歩みにはあったのか
近代建築のアクセント程度に歯を見せた口元は
こちらに何も語ってはくれなかった
それがお前の宿命的なお終いなら何も言う気はない
だけどそこに居るのはいったいいい気分なのかい?
今頃あいつはもうどこにも居ないことになっているだろう
ちょうど俺のレコードのコレクションと同じくらいに
春の河川のようによどんだ眼球を天井へ向けて
何時かその遙か上まで昇っていく時のことを考えた
しゃあない、と思えるだろうか
いったいこんな有様で
そのとき
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