イリュージョン/済谷川蛍
館の一階の様子を確かめてみた。右と左はそれぞれ行き止まりで、奥の部屋に通じるドアがある。通路の棚の上に置かれた白い胸像が異様に存在感がある。また怖くなって、ドアを開けた。
「おもしろいよー、ちょっと来てー」と言った。
ヨシミとヨウスケは近づいてきた。ヒロキは、よしっと思った。3人は中に入った。そしてヒロキは先駆者ぶって言った。
「ドア閉めるとすっげ怖いよ。音が静かになるから」
ドアを閉めると、3人は外の騒がしい世界と隔絶された。ヨシミとヨウスケは少し恐れているようだったが、ヒロキは「ぼくは平気さっ」といった感じで余裕を見せた。
「お城みたーい」とヨシミの声が涼しげに反
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