イリュージョン/済谷川蛍
 
「なにこれ!?」
 掛け軸の裏のザラザラした壁に、何かのレバーが埋め込まれていたのだ。膝を抱えてうな垂れていた2人が、興味深げに寄り集まってきた。
 「スイッチ?」とヨシミが聞いた。
 「引っ張る?」とヒロキが言った。
 「でもぉ……」とヨウスケが嘆いた。
 「これがドアの鍵になってるんだよ」とヒロキが言った。
 「バイオハザードみたい」とヨシミが言った。
 一瞬、3人にゾンビのイメージが湧いて、しんとした。
 そして何も怖いことは思い浮かべていないといった感じでヒロキが喋りだす。「とにかく引っ張ってみるしかないよ」
 ヨウスケは渋々同意した。
 ヒロキはレ
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