イリュージョン/済谷川蛍
と怖い……」
ヒロキはぞっとした。3人は不安の膜に包まれ、ドアを開けるかどうか迷った。
「やめよう」とヒロキが言ったとき、ドアが独りでに開いた。そして3人は排水溝に吸い込まれるようにその中に引っ張り込まれた。
「わあっ!!」
3人は悲鳴を上げ、尻餅をついた。ドアは完全に独りでに閉まった。ヒロキは周りの風景に唖然とした。洋館なのに、その部屋は八畳ほどの日本間だった。
「なにこれぇ……」「うぅ……」ヨシミとヨウスケが泣きそうな声を出した。ヨウスケは今にも涙を流しそう。ヒロキも恐ろしくてたまらなかった。急いでドアを開けようとしたが、何か引っかかっているのかノブが回せなかった
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