イリュージョン/済谷川蛍
デトに何か特別な神秘性を感じていた。実際彼は、学校でも一等優秀で、なのに朗らかな性格で、背が低く、幼い綺麗な顔をしており、メガネが彼の容姿にいいアクセントとなっており、女の子にもてたし、友人も多かった。ヒロキは、彼が、あるマンガのキャラにだぶって見えていた。おそらく、他のクラスメートも同じように思っていただろう。ヒロキは彼に一度「ヒデって、本当はマンガの世界から来たんじゃない?」と言ったことがある。彼は「なにそれ」と、まるで自分が特別な存在であるとは思いもしないような口調で言って、屈託無く笑った。そのリアクションもまた、神秘に感じた。だから、そんな彼が、しくじることは、絶対に無いと信じていた。
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