イリュージョン/済谷川蛍
 
た。それからヒロキはどんどんと式を伝えていった。伝えていて、こんなものいくらヒデトでも無理なんじゃないかと思った。分数は桁が上がり、さらに掛け算、割り算まであった。「わかる?」と聞いてみた。「やってみる!」とヒデトは応えるが、まったく余裕が感じられない。
 3人は待った。ヒデトは必死に参考書を見て、やはり無理だと感じると再度3人に言った。「わからないよ!やっぱり大人を呼んでくるよ!」3人は叫ぶ。「ダメ!!」屋敷とともに消えてしまいそうな予感。ヒデトは真っ黒になったノートをめくり、再び目もくらむような式を書き写した。
 3人は、特にヒロキは、ヒデトのことを信じていた。ヒロキは前々から、ヒデト
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