イリュージョン/済谷川蛍
闇の向こうに明かりが見えた。近づくと、出口と書かれた扉があった。歓喜の悲鳴を上げて走っていった。ヒロキがドアノブを握った。しかし、ノブは回らなかった。愕然とした。ドアに掲げられた看板に目をやった。そこには、まだ3人が習っていない数学の問題が書かれてあり、数字を合わせる鍵もついていた。その鍵の上には不気味なドクロが飾られており、間違えると何かとてつもないことが起きることを暗示していた。3人は何とかその数式の謎を解こうと頑張ったが、まったく記号の意味がわからなかった。もう、すぐ近くに外の世界があるのに、なんで!?という非情に3人は大きく声を張り上げた。
「ねぇ助けて!ねぇ誰か助けてぇ!」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)