イリュージョン/済谷川蛍
 
に1cmほど水が浸水していた。パチャンッパチャンッと歩くたびに3人分の水音が響く。そして、水かさはだんだんと増えていった。「大丈夫かなぁ」と、今まで我慢していたようにヨウスケが言う。とにかく、進むしかないよ。もう、この先に出口があると信じなければ、やってられなかった。水かさが膝の下辺りにまでなったとき、ヨシミが言った。「ねぇ、水着に着替えたほうがいいんじゃない?」。ヒロキたちは同意した。3人は水着を取り出して、それからヒロキとヨウスケはヨシミと反対方向を向いて、それぞれ水着に着替えた。彼らはまたぞろ闇のトンネルを進んでいった。
 とうとう水かさは腰のあたりにまでなり、さらに限界を目指して進み、
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