イリュージョン/済谷川蛍
ンを作れない?」ヨシミが「ちょっと待って」と言い、手早く水泳袋を手探りで集め、そしてヒロキの位置に合わせてタオルを重ねた。
ヒロキはさっきヨウスケを怒鳴ったことを反省して、ヨウスケを励ました。
「おれが先に飛び降りて、ヨウちゃんを受け止めるから」
ヨウスケはうん。と頷いた。
ヒロキは床の間の端を手で掴んでぶらさがった。
「行くよー」
「うんっ」
ヒロキは手を離した。そしてタオルの上に足から落ち、それから尻餅をついた。「だいじょうぶ!?」光に照らされたヨシミの顔が近づいた。「うん、だいじょうぶ」。上を見上げる。それから、勇気が湧いたヨウスケは、受け止めなく
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