イリュージョン/済谷川蛍
ミは手探りでヨウスケの水泳袋を探し、中からペンライトを見つけてスイッチを入れた。ぽっと光がついた。ヨシミの姿が、4、5メートル下に見えた。
「ヨシミー、飛び降りるからちょっとどいてて」とヒロキは言った。ヨウスケは不安げな顔をした。
「うーん、気をつけてね」とヨシミは応えた。「危ないよー」とヨウスケは言った。ヒロキは「またか……」とうんざりした。「じゃぁおまえだけここに残れよ!」と、さっきまで反省しかかっていたのに、もう吼えてしまった。ヨウスケはしゅんとした。ヒロキは、ヨウスケのことも自分の性格のことも嫌になった。ヒロキはまた、それと関係ないことを閃いた。「ねえ、タオルとかでクッションを
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