僕の涙。/敬語
 
しみと哀しみ。
ただの薬水を涙の代わりに使われるなんて。

今頃はもう、下水処理場で綺麗にされているのだろうか。


しかし、翌々考えてみれば、僕は僕の悲しみと哀しみを失ったことを悲しんでいるし、哀しんでもいる。
これはつまり僕は僕の悲しみと哀しみを失ったいないのでは。

そう考えると、嬉しくて、嬉しくて。
僕は嬉し泣きをしたくなった。だが、嬉し涙は流れないし、零れない。

嗚呼、憐れなるは僕の涙。
悲しくて、哀しくて、零れた涙は僕の涙の核であったのだ。それを僕は失ってしまった。

今頃はもう、川を流れて小石のように角が丸くなっているのだろうか。


二度と涙を
[次のページ]
戻る   Point(3)