判っているんだけどどうしようもないってもんだよ/ホロウ・シカエルボク
 

どこかからどことなくくたびれて帰ってくる車の流れがあるばかり
路地裏のお終いに立つときにいつも何かがこっそりとスタイルを変える気がする
そんな気分に思わず振り返ってしまうときとどうしても振り返れないときがある
その日は確かにどうしても振り返りたくない気分だったが
このところ俺の感情は季節のように機を逃してうろうろしていたので
そんな気分に寄り添うことをほんの数秒間忘れてしまっていた
振り返ると一番始めに雨の向こうに跳んだ蛙がいつの間にか俺の背後に居て
生きているってことはおおむねしかたがないってことだって目をしてこちらを見ていた
「判っているんだけどどうしよう
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