判っているんだけどどうしようもないってもんだよ/ホロウ・シカエルボク
ようもないってもんだよ」
俺はやつの目を見ながらはっきりと言葉にしてやつのそんな目線に答えた
判っているんだけどどうしようもないってもんだよって言葉は雨と同じように
小言みたいな路面の凹凸にほどかれて道の両端に向かって流れて行った
蛙は俺の言葉にはなんの興味もないように見えたが
それを確かに聞いていたということは目玉の動きでなんとなく理解出来た
なにも蛙と話をすることはないのだと俺は結論して背を向けて国道に出ようとした
「不便だよなおまえは」と背中に声がかけられた
俺は少しだけ振り返って笑って見せた
雨は一向に調子を変えぬまま夜まで降り続くのだろう
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