判っているんだけどどうしようもないってもんだよ/ホロウ・シカエルボク
近考えることがある
その家に住む者の代表的な誰かと運命を共にするべきなのだと
誰も居ない家屋はずっとさみしいうたを歌い続けているうらぶれた歌手のようで
そんな有様が時々無性にたまらなくやりきれないものに見えてしまうのだ
あまり面白くもない話には違いないが俺は彼らのそうした佇まいを目にするたびに
どこか自分の姿を見るような心持で馬鹿みたいに立ち止まってしまうのだろう
機械のような冷たさの四月半ばのある日に降り続く雨は一向に調子を変えることはなく
言葉のない祈りのように路地裏はしとしとと濡れ続けていた
路地のお終いは名ばかりの国道に繋がってだけどそこには申し訳程度の
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