詩 04 / 03 / 02 /****'02/小野 一縷
 
破片
忘れはしないかと 少し焦る


記憶を一片々々 言語化してゆく
それぞれの その違う色合いの輝きが 
眠気の 靄に霞む前に
素早く スケッチしなければならない


胸の痛みは つかえたまま 
それが胸の内に 溶けて拡がり
急速に酔う様に 深く 眠くなる


一通り素描できたら 時間をかけて 
それぞれの 言葉の発光を促す 自然に
その間 普通に暮らす 眠る 
詩の事は 日に一度 思う程度で

日を改めて ノートに向き合い

様々な輝き 色彩の密度と硬度 
時に その温度 音階 形態 芳香を
藍色一色の このペンで 何色にも描き出す



[次のページ]
戻る   Point(5)