夏が来ますよ/ホロウ・シカエルボク
も
それはレターポケットの一番前におさまった
その夜から夢を見る
首をたくさん
首飾りにして襟元を飾ってる可愛い花売り
彼女の名前は夏子といった
新聞に載っていた名前と同じだった
彼女は一日も欠かすことなく
僕の夢にやってきた
井上陽水の
ビーズとパールといううたをうたいながら
ぶらぶらと
首飾りを揺らして見せた
目覚めてからいつも
僕は少しだけ嫌なことを考えた
首だけが行方不明のどこかの社長は
花売りに出会う前にこんな夢を見ていただろうか
夏の
あるいは春の
到来を告げる二行だけの手紙を貰っただろうか?
お茶を飲んだけど
気持ちはすこしも落ち着かなかった
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