罪にもいたらず/メチターチェリ
不足だと鼻で笑いたい
だから 昨日もおとついもその前も
彼は部屋の同じ片隅に寝ころがり
明日とあさってと当てのない将来のため
ひとり 結論の欠いたおしゃべりを続けている
机の上にはホコリの膜が
何ヶ月も前から怠惰を語っていた
着たきりのシャツが垢染みようが
それを苦にする余裕は更にない
窓によりかかると風の圧力を感じる
彼の窓にはアジサイの葉の紋様が施されていて
日が落ちた部屋に街の灯りが漏れると
まるで葉末に垂れた露のようだ
文目をつたう光の雫 嵐に咲いたガラスの花
彼もたった二日前にそれに気づいた
気がついたからといってどうということ
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