ウイリーの風/剣屋
 
っとなにする気よ。じっとしてなさいよ」
「黙ってろ」
「自分の身体のこと、ちゃんと理解できてないんでしょ、ナナメ!」
「いいから黙ってろ」
 鬼気迫る顔のナナメは鈍痛を必死に耐え抜くかのように歯を食いしばっている。ニンジャの元に向かう足取りは非常に遅い。しかし一歩一歩が見る者を驚嘆させずにはいられない強さを持っていた。
 ナナメはどこか超然とした雰囲気をまとってニンジャに跨り、エンジンをかけた。山の静けさを打ち破る轟音が響いている。
 ゼロはナナメの意図を察知したような顔つきになった。
「ナナメさん。まさかこのおっさんに……」
「おいゼロ。わかってるならさっさとおっさんを俺の後ろま
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