ウイリーの風/剣屋
はいえ、歪んだ行動力に溢れた醜い男は大きな存在だった。しかし今はひときわ小さく見える。取るに足らない卑小な、まるで修理不能の壊れた玩具のように感じる。
不思議とキリコは同情したくなった。身体を辱められても、気の優しいキリコは男に情けをかけられずにはいられなくなっていた。
キリコは、ゼロ、ナナメ、醜い男の三人それぞれに眼をやりながら話し出す。
「アタシの話を聞いて。この人はやり方を間違っただけなんだよ。たぶんファンの心理っていうのかな。憧れてたり、ちょっと気になった人に近づきたい気持ちって誰にでもあると思うの。彼はその思いが強すぎたのよ。だから写真だけでは飽き足らずに直接、アタシをさらおう
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