ウイリーの風/剣屋
くナナメさんにはかなわない。ところでこのおっさんどうしますか。単車の後輪に括りつけて引きずり回しますか。それともこれでもかってくらい殴り倒して山中に埋めますか」
依然としてやや興奮気味のゼロをキリコが制する。
「ゼロ、言ったでしょ。もういいよって」
「……わかってるよ。僕はもう冷静だ。後始末は警察に任せよう。でもその前にこのおっさんに色々聞かないといけない。おい、おっさん。どうしてキリコを拉致しようとしたんだ。恨みでもあるっていうのか」
頭を抱えたままの醜い男は身体を震わせているだけで、口を開こうとはしない。キリコにはその姿がひどく憐れに思えた。数分前までは欲望の権化になっていたとはい
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