ウイリーの風/剣屋
 
しれない。そして地方のしがない雑誌モデルである自分にも魔の手が及んでしまった。
 誰でも――誰の身にでも悲劇は突然やってくる。悲劇は普通なら避けるのは難しい。
 それを避けることができたのはゼロとナナメの二人がいてくれたからだ。男らしくて、強くて、最高に輝いている二人。血は繋がっていないけど兄弟のような繋がりがあったからこそ避けることができた。
 キリコは安堵した表情で言う。
「ゼロ、ナナメ。本当にありがとう」
 ナナメがくたびれた声で言う。
「礼を言う暇があったら俺の肛門をどうしかしてくれ。糞まみれだぜ。ふはははは」
 苦笑いとも失笑ともつかない顔をしたゼロが言う。
「まったくナ
[次のページ]
戻る   Point(0)