ウイリーの風/剣屋
 
ようにゼロの唇に優しいキスをした。距離のない、唇と唇が触れ合ったままの状態で言う。
「助けに来てくれて嬉しかったよ。でもアタシ殺すことなんて望んでないよ。だからもういいよ。もうその怖い顔を見せないで……」
 ゼロの表情から殺気が消えた。
「変な真似するなよ」
「落ち着いた?」
「ああ。悪いけど手錠を解くのは後回しだ。キリコはナナメさんを見に行ってくれ。倒れ込んでるからすぐわかるはずだ。僕はあの野郎が逃げないように見張っておくから」
「よかった元に戻って。俺って言ってるゼロ、怖かった」
 キリコとナナメはそれぞれ車内から出て、目的の方向へ急いだ。

 ジープ・チェロキーの傍らに血み
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