夜に死なない/黒木みーあ
 
ではなかった。路地裏からいつもの道に出た。わたしは真っ黒になってしまったんじゃないか、そんな気がしていたが、ガラスに写るわたしはいつものわたしだった。眩しい。この街のネオンが心底嫌いなんだと、思った。
  
少ししてまた、電話が鳴った。友人。という文字が画面の中で点滅している。とらなかった。捨てた。わたしには友人はいない。吐き出す息と一緒に声に出す。いたことさえない。今すぐ、飛び降りてしまいたかった。もう、どこか高いところから、気絶しておしまい。おはよう地獄。きっと今だって、頭が割れているに違いない。でもほんとうは死にたくないと、思ってる。わたし、わたしはわがまま。わがままな子だと、小さい頃か
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