夜に死なない/黒木みーあ
頃から親が言い続けたように、わたしはわがままだった。わがままじゃないといい続けたわたしは、たぶん、一番はじめに死んでいた。
自然と、帰路についていた。昨日と同じ帰り道には、昨日と同じように少しずつ明かりが失われていく。時間がいつもより早くても、夜に変わりはなかった。外灯はくたびれ果てて、出迎えることは決してしない。通る度、夜の温度が濃くなっていくような、そんな感覚を抱いていた。どこの家も真っ暗で、わたしも、同じように真っ暗だった。誰も居ない。居ない。帰っても、わたしはそこに居ないし、ここにも、居ない。
かなしい声がきこえる。わたしの、風見鶏の、声。ないていた。くたびれた外灯の端に
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